染川英輔 1983年 1210ミリ×580ミリ 絹本着色 軸装
観蔵院の本尊でもある不動明王は、忿怒の相をしていますが、それは内なる慈悲ゆえです。粗岩(磐石)の上に屹立し、「一切の人びとを救うまではここを動か じ」という決意に満ちた姿なのです。つまり不動明王像においては、忿怒の表現が大きいほど、その内面に秘められた深遠な慈悲が、逆説的なかたちで観る者の 心に迫ってくると言えます。染川英輔の不動明王は、暗闇に燃え盛る炎に包まれつつ、文字通り不動の救済の意志を刻印されたかんばせが、観る者を圧倒しま す。