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◎ 紺紙金銀泥両部曼荼羅

西川みつ子 (下絵:染川英輔)  1989年-2004年 紺紙金銀泥 軸装 各2300×2100ミリ

現在観蔵院本堂に安置されている紺紙金銀泥曼荼羅は、観蔵院両部曼荼羅の下絵を用いて、染川英輔の弟子である西川みつ子が15年の歳月を費やして描きあげた曼荼羅です。紺地の紙に金泥と銀泥を用いて線描で描かれるこの曼荼羅は、白描図に岩絵具の彩色と截金を施して描かれる通常の両部曼荼羅とはまた違った意 味で、その工程において緻密な作業が要求されます。紺紙という背景の闇から、金と銀の、繊細でありながら確かな線描によって形を与えられた数多の尊像が、 浮上するがごとくに顕現するのを目にする体験、それはまさしく視覚による啓示的体験であると言えるでしょう。
ちなみに、空海が請来した曼荼羅はひとつも現存していませんが、現存する最古の曼荼羅は空海が淳和天皇の発願で高雄山神護寺の潅頂堂に829年に描いたとされるもので、同じく金銀泥で描かれています。

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