密教において聖花である蓮華を持した蓮華菩薩像は古来から広く伝播し、インドのアジャンタ遺跡や法隆寺金堂壁画などにも認められます。大乗教典のひとつで ある『華厳経』では、宇宙全体は一輪の巨大な蓮の華であり、そこには無数の種子が詰まっていて、さらにその種子を構成する複数の層のそれぞれに無限の世界 があり、そのうちのひとつの世界にわれわれが住していると説かれています。さらに蓮華は、内に向けて世界が無限に構成されているだけではなく、外にも無限 に同時遍在するのです。説法をする仏様の蓮華を中心として無限に蓮華が顕現し、そのそれぞれの蓮華のなかにも仏様がいるのです。