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◎ 如意輪観音菩薩

染川英輔 1982年 絹本着色 三つ折りの額装 1850×785ミリ(玉腰久子氏寄贈)

染川英輔の最初の本格的な仏画作品であるこの如意輪観音菩薩は、輪王座(片膝を立てて足裏を重ねた坐り方)で六臂という如意輪観音菩薩像の典型的なスタイ ルで描かれています。如意は如意宝珠、輪は輪宝を表す如意輪観音菩薩は、功徳を施し、人びとを六道の苦から救い、煩悩を打破する菩薩です。右の第一手は頬 に添えられて思惟相を表していますが、染川英輔の如意輪観音菩薩においては、色調の見事な調和と、細部まで意識が張り詰めた描写もさることながら、何と 言っても深い憂いを宿した表情に目を奪われます。沈思する菩薩の名状し難い表情を前にしておそらくわれわれは、さまざまな想念が輻輳するこの相貌と交感し つつ黙考することで、それぞれへの教えを引出し得るでしょう。

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